蟹座の神話
ある日、勇者ヘラクレスは重い罪を犯してしまい、その罪を償うために蛇の化け物ヒドラを退治する旅に出ました。
ヘラクレスは全能の神ゼウスと妾の子だったため、正妻であるヘラに恨まれていました。
重い罪を犯したのも、旅にでることになったのも、じつはヘラの呪いのしわざだったのです。
ですが神託として化け物を退治するように命じられては断れません。
旅に出たヘラクレスは、化け物ヒドラを見つけ、激しい戦いが始まりました。
ヒドラは不死身の頭を持つ化け物ですが、なんといってもヘラクレスは怪力で比類なき最強の勇者です。
闘いの最中、化け物ヒドラが不利になり窮地に陥ると、大蟹がヒドラを助けようと、大きなハサミでヘラクレスの足を切ろうと味方しました。
しかし、ヘラクレスはそんなものには全く動じず、そのまま大蟹をふみつぶしてしまいました。
大蟹カルキノスは勝てるはずもないのに、親友である化け物ヒドラを助けようとしたのでした。
大蟹はヘラクレスを殺すためにヘラに差し向けられたともいわれます。
そんな大蟹の功績と勇気を認めて、ヘラが天に召し上げたのです。
ヘラに命令されたにしろ、まったく勝算のないままに、友であるヒドラを助けようとした大蟹。
化け物でありながら友を守ろうとした大蟹は、じつは優しい心の持ち主だったのでしょう。
蟹座も、友や家族のことを一生懸命に助けようとする情に厚い人達。
すべてを投げ出して愛する人を守ろうとする姿が、大蟹の神話と重なります。